「市民の声」を共有し、住民サービスの向上と改善へ 進化し続けるCRMを実現するには

相模原市役所 様

● 導入企業様業種:官公庁・自治体 ● 導入製品・サービス:VextMiner

「市民満足度の高い都市」を目指す相模原版CRM

VextMiner導入の背景を教えて下さい。

原氏
平成17年度に策定した本市の経営指針である「都市経営ビジョン」というものがありまして、その推進のための基本的な視点のひとつに「顧客主義」という考え方があります。これに基づいた、市のコールセンターに寄せられている市民の声の分析、ニーズの把握、検証を基盤とする広角的な情報発信、所管課への改善を求めたフィードバックを行う、「市民満足度の高い都市」を目指す相模原版CRM構想が、平成20年度に定義されました。
しかし、CRMや、テキストマイニングとは如何なるものかという所から庁内に説明・浸透させるのが大変でした。その為にはどうするかと考えた結果、デモで実際に見て貰った方がいいだろうという結論となり、ベクスト社他数社に打診をして、「履歴分析システムとはどういうことなのか」「CRMとは何か」「テキストマイニングはどんなものか」と実際に見ながら説明する機会を設け、企画部門や情報部門に積極的に足を運んで貰い、浸透させて行きました。

VextMiner導入前の分析手法を教えて下さい。

原氏
相模原市ではコールセンターのオペレーターが、日々の電話応対の履歴をエクセルシートに入力しています。
VextMinerを導入する以前はコールセンター担当が10日に一度、グループウェアに掲示していました。当時は10日で3,000 件程ありましたので、見るだけでも大変ですし、そこからどう次のステップに繋げて行くのかが難問でした。自分の課を絞って見ることはできるのですが、それだけだと訴えかけるものがなく、「気付き」も生まれません。また、部分的な傾向は、担当者レベルでもある程度は分かるのですが、全体としての傾向までは把握できないのが悩みどころでした。そこで、効率よく応対履歴を分析することができるシステムを導入してみてはどうだろうかという流れが生じて行きました。

VextMiner 導入後は、どのような変化がありましたか?

山﨑氏
コールセンターが出来たのが平成18年で、それ以前も「わたしの提案」制度などで記録は残していたのですが、日々変動する応対履歴を記録する意識が生まれたのがコールセンターの立ち上げからなんです。VextMinerの導入後は、更なるステップアップとして事業担当課に詳しく図で見せるなど、プレゼンしやすくする為のツールとして活用させて頂いており、各種改善に大変活かされています。

原氏
先程お話しましたグループウェアの掲示板のエクセルシートも、VextMinerを使って総計やグラフ化し、視覚化することによってそれまで以上に目を向けて貰えるようになりました。内容も今まで一件一件見なければ分からなかったものが、全体の傾向が見える、納得感の得られるものになりました。

「市民の声」を活かしたFAQで自己解決力を向上

導入後はどのようなフィードバックが行われているのでしょうか。

原氏
実際に頂いたご意見を分析して、「この件についてはこういった声が多い」ということを担当課に伝えています。例えば、市のお祭りがあるのですが、神輿がいつ出るのかという質問が毎回多数寄せられていました。なぜ毎回同じ問い合わせが寄せられるのか調べてみると、意外にもポスターやチラシにその情報が載っていなかったのです。それならばと詳細を載せてみると、市民の方からの問合せがガクッと減りました。

山﨑氏
あとはゴミの問合せが圧倒的に多いですね。コールセンターへの問合せは年間におよそ9万件ほどありますが、ゴミ関連はその3 割を占めます。

原氏
その中で、FAQでカバーできる単純な問合せは受けなくて済むように、担当課の協力を得てゴミ分別サイトやFacebookを立ち上げました。過去のデータを活用し、この時期はこういう問合せが入るだろうなという予測をして、問合せが入る前に先手を打ってWeb上に回答を用意しておきます。
このように、市民の方が自分で見て自己解決できるような環境を整えてきましたので、市民の満足度も上がっているのではないかなと考えています。人口が増加する一方で、問合せ件数は徐々に減少しています。

市民の声をまとめた「ちょっとお知らせレター」を庁内で公開されているそうですが、反響は?

原氏
その中でも「今回の激レア」という、少数派意見を載せたコーナーが一番人気ですね。何故これを載せたかというと、まずは「お知らせレター」に目を向けて貰いたいということで、実際にコールセンターに寄せられた声の中から、なるべく笑ってしまうようなものや微笑ましいエピソードを載せています。これは結構反響がありますね。合わせて市民の声などにも目を移して、全体を見て貰えるように工夫をしています。

山﨑氏
「取りあえずランキング」という、問合せのキーワードランキングのコーナーも用意しているのですが、6月は児童手当の問合せが非常に多く、常に問い合わせの多いゴミを超えてしまう傾向が毎年続いています。そこで、コールが減るように、前年のデータを元に事前告知に文言を付け加えたりと、担当課に対策を事前に打って貰うという動きを行っています。得た分析結果を担当課につないで活用し、逐次改善していくことが重要ですね。

「市民の声」システムによる一元管理を目指して

2013CRMベストプラクティス賞を受賞してどのような反響がありましたか?

原氏
これまでのコールセンターの取り組みが評価されたということで、コールセンター自体の士気が上がるなど、プラスの要素がありました。職員へは、全庁掲示板に載せたり、ベストプラクティス賞のロゴマークの使用を推奨するなど、周知するとともに、市民へは広報紙の一面に掲載することで、コールセンターの認知度向上につなげることができました。
市外からも照会や問合せがあります。様々な自治体から問合せを受けたり、視察の依頼があるなど、反響を得ていますね。

「市民の声」システムの詳細を教えて下さい。

原氏
今までは各課に直接問合せが行き、各課で答えてしまっていたので、全体が見えませんでした。
そこで今回「市民の声」システムを導入し、全ての声が入る仕組みを構想しました。各担当課に散らばっていた問合せメールや、わたしの提案、コールセンターへの問合せメールなど、全てを分析にかけて全体を把握し、庁議資料として提案します。市民の声が上層部まで吸い上がって、最終的に政策に反映され業務改善に繋がるように整えて行きたいと考えています。
政策を考える上で必要なことは、庁内の職員の頭で考えるのではなく、市民の方からの声に沿った政策を行う流れを作ることであると考え、市民の納得感を得られるような、より市民満足度の高い都市を目指していきたいと思います。

VextMinerの機能を今後どのように活用して行きたいですか?

山﨑氏
使用を開始した当初は、率直に言って専門用語が多いので、どう覚えるかが難しかったですね。ですが3、4ヶ月触ってみると、大まかな傾向は示せるようになってきました。そこから、もう少しステップアップをして、全件マッチングを行ってFAQを作るのに活用するなど、そのようなレベルの操作を行いたいと思います。
あとは一番興味があるのはやっぱりFAQですね。是非予兆から構築してみたいなと思います。

※全件マッチング…特徴的な少数意見を発見するための機能
※予兆…少数意見の中でも、今後急増する可能性がある話題

成功のコツは鮮度管理 変化に合わせてメンテナンスを

VextMiner導入を検討されている方へアドバイスをお願いします。

原氏
FAQについては鮮度管理が最優先なので、毎日のチェックは遵守しています。コールセンターが直す場合と、担当課から“事業をHPや広報などに掲載する”というタイミングで、「こういうことをやるのでFAQを修正して下さい」という要望を出す場合があり、お互いにチェックをする体制ができています。
また、辞書登録のキーワードも重要です。年を重ねるにつれてキーワードは変わって行くので、その変化に対応させる必要があります。新しい話題に合わせて辞書登録や設定ファイルをメンテナンスする、そこが肝なんじゃないかなと思います。