辞書・分類設定のメンテナンスについて(応用編)

テキストマイニングツールの定常的活用で欠かせない作業となる辞書・分類設定のメンテナンス。
前回の「辞書・分類設定のメンテナンスについて(基礎編)」では、作成時に意識するべき基本をお伝えしました。
今回は応用編として、メンテナンスがうまくいかないケースを例に取り、具体的なメンテナンス手順についてご説明します。
メンテナンスがうまくいかない辞書・分類設定
最初に辞書・分類設定を完成させた段階で、その後のメンテナンスがうまくいかない、すなわち「どう手を付けたらいいか分からない」状態を招いてしまう事が多々あります。
まずはよくある失敗例をお伝えします。
1.複雑すぎる分類設定
最もよくある失敗例が、「複雑すぎる分類設定を作ってしまう」です。
作成者は明確な意図を持っていたとしても、作成者以外が設定を見た際に意図が汲み取れず、「どのような話題を取りたかったのか?」が分からない場合もあれば、設定値の割り振りが相互に絡み合って、「一部を修正したいのに全体の数値を変える必要がある」状態となり、どこまで波紋が広がるか分からず怖くて手が付けられない…という場合もあります。

上記の例では、以下のような問題点が挙げられます。
■製作者の意図
①書類と証券という表現の違いが混在しているので両方とも重要単語に設定
②届いたと到着という表現の違いが混在しているので両方とも重要単語に設定
③違うと間違いという表現の違いが混在しているので両方とも重要単語に設定
④書類と証券はどちらも当カテゴリにおいて重要なキーワードなので重み付けを大きくした
⑤届いた、到着、違う、間違いは補足的なキーワードなので重み付けを小さくした
■問題点
①「書類 or 証券」+「到着or 届いた」+「違う or 間違い」の組み合わせが明確化されていない
②「違う・間違い」以外に「間違った」などの表現があるはずだが取りこぼれている
③今後「到着・届いた」や「違う・間違い」の類義語があった場合、重要単語がどんどん増えてしまう
これらの問題を解決すべく修正した例が以下となります。

1つのカテゴリに対して複数の設定を持たせることで、全体をシンプルに整理しました。
これにより、問題点①にある組み合わせの明確化をクリアし、「書類+到着+違」の組み合わせ、もしくは「証券+到着+違」のみこのカテゴリに分類されるようになりました。
次に、「違う」「間違い」という表現を「違」一字に変更することで、「違う」という共通の意味を端的に表し、問題点②の語尾変化等の取りこぼしに対応しました。
また、「到着」「届いた」という表現は類義語に設定することで、設定はシンプルに、今後同じ意味を持つ表現を追加したい場合に向けて受け皿を用意した状態となりました。
2.一般的ではない類義語辞書
次にありがちな失敗例が、「一般的ではない類義語辞書を作ってしまう」です。
例えば前述の「到着」「届いた」は一般的に同じ意味を持つ類義語とみなすことができますが、分析対象となるデータ内だけで同じ意味を指す(一般的には同じ意味を持たない)言葉たちを類義語にしてしまうと、作成者以外はどのような定義づけが為されているのか汲み取れなくなってしまいます。

上記の例では、以下のような問題点が挙げられます。
■作成者の意図
①「契約内容についての何らかの印刷物」という意味で、書類・DM・はがき・書面が表現として使われるので、DM・はがき・書面を「書類」の類義語にまとめた
■問題点
①DM・はがき・書面と書類が必ずしも同じ意味で使われるとは限らないため、混同すると意味が通らない場面が生じる
この問題を解決すべく修正した例が以下となります。

書類と書面、DMとはがきは一般的に類似した表現とみなせるため、それぞれを類義語に設定しました。
これにより、制作者以外がメンテナンスをする際にも定義が明確となり、修正が容易となりました。
定常的にメンテナンスができる状態を保つには、シンプルな設定と明確な定義付けを心がけましょう。
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