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分析を始める前に”要件定義”を行うメリット


上司からの指示や、他部署からの依頼で分析業務を任された…、もしくは自社の顧客からデータを預かり分析を行うことになった…。
そんな状況に置かれた時に、「期限もあるから今すぐに分析に取り掛かろう!」と手を進めてしまうのは早計です。
分析結果を報告した際に「思っていたのと違うものが出てきた…」と言われないためにも、まずは要件定義を行いましょう。

今回は分析を始める前に要件定義を行うメリットについてご説明します。

そもそも分析の要件定義とはなにか?

そもそも、分析の要件定義とはどのようなものでしょうか。
大雑把な言い方をすると、「分析の要件=どのデータを、何のために分析し、どのような結果が得られれば評価(〇×)が付けられるか」を定義するものです。

分析の要件として最低限必要な物は以下となります。
① 分析対象のデータ
② 分析の目的
③ 分析のゴール

ではなぜ、これらの要件を定義する必要があるのでしょうか。

なぜ要件定義が必要なのか

分析を行う上で要件定義は欠かせません。
分析結果報告の場で良い反応が得られなかった…というお悩みを持つ分析担当者も多く、よく話を聞いてみると、要件定義がないまま分析を進めてしまっていたというケースが散見されました。

要件定義を行わない場合、以下のデメリットが考えられます。
① 分析対象のデータが不明確:目的に適したデータか判断できない
② 分析の目的が不明確:目的が分からないので分析の道筋が立てられない
③ 分析のゴールが不明確:出された結果を見てどのように判断すればいいか分からない

以上の事から、要件定義がないと分析担当者はどのように分析していいか、今の状態が正解かもわからないまま作業を進めることになり、分析の依頼側もその結果をどのように評価すればいいか分からず、双方が「結局なんのために分析したんだっけ?」と首をかしげる結果となってしまいます。

要件定義がある場合はこの逆となり、以下のようにリスクを回避できます。

① 分析対象のデータが明確:

  • 目的にそぐわないデータの場合は、得られる結果が限定的となることが分かる
  • 目的に対しデータ量が不足している場合は、データの追加が必要であると分かる
  • 前処理などが必要になる場合は、分析期間の延長が必要と分かる

② 分析の目的が明確:

  • 目的に対する手順を事前に検討できる
  • 大きな目的に対してメルクマールを立て、全体のストーリーを作りやすくなる

③ 分析のゴールが明確:

  • どのような結果が得られれば評価ができるのか、分析者・依頼者双方が共通認識を持てる

現在のデータのままでどこまで分析ができるのか、どのような手順で進めたらよいか、何が分かれば評価ができるか、これらの情報を認識齟齬無く関係者全員が認識できれば、少なくとも「思っていたのと違う…」というがっかり感を依頼者側に与えずに済むでしょう。

要件定義はどのように進めたらいいのか

要件定義は分析に取り組む前に、一度データを預かってから行う必要があります。
分析に取り掛かった後から「やっぱりこのデータでは足りません」「他のデータが必要です」と言っても、依頼側でデータの用意ができなかったり、用意はできても時間を要してしまったりと、全体のスケジュールを乱す要因になってしまいます。
また、データの中身を見ないことには、適切なのか不足があるかは分かりません。
サンプルとして事前にデータを預かり、中身を確認してから要件定義を行うと安全です。

具体的には以下の流れで進めると良いでしょう。
① 分析の依頼
② データサンプルの受領
③ 要件ヒアリング(打合せで要件をすり合わせて定義)
④ 分析着手

また、せっかく要件定義を行っても、結果報告までの間に認識がずれたり、ニュアンスが伝わっていなかったり、誤解があったり…と様々な要因で分析者と依頼者の意図がすれ違うことがあります。
これを回避するためにも、分析の途中で必ず中間報告の場を設け、今は何のためにどの作業を行っており、以降の作業でどのようにゴールに向かって進めて行くのか、全体を見通した認識合わせを行うことをお勧めします。

分析作業を円滑に進めるためにも、必ず要件定義を行いましょう。


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