近年、SFA(営業支援システム)の普及や、コロナ禍におけるWeb商談の増加などにより、営業日報・商談記録のデータ活用に注目が集まっています。
今回は、営業日報・商談記録の分析を実施するに当たり、テキストマイニングの観点から気をつけるべきポイントについて解説いたします。
1.分析の目的を設定する
営業日報・商談記録の分析では、同じデータであっても、分析の目的によって分類の方法や分析の手順が異なってくることが特徴的です。
代表的な目的の例としては大きく2つがあり、
1つは「営業日報から顧客ニーズや市場のトレンドを発見し、商品・サービスの企画に活かす」こと、
もう1つは「営業日報から営業マンの発言内容や行動パターンを分析し、その営業ノウハウを可視化・横展開する」ことです。
これら2つは全く異なる内容であり、それぞれにおいて別々の分析を実施する必要があります。
近年ではこの2つの目的以外にも、例えば製薬業界においては「不適切な販売活動が行われていないかを監視する」という目的で営業日報のデータを使用するケースもあり、その活用用途は多岐に渡っていると言えます。
2.データを収集する仕組みを作る
営業日報の分析において最も大きな課題は「いかにして十分な量のデータを収集・蓄積するか?」ということです。
何故ならば、営業マンは売上目標を達成することが主たる目的であり、営業日報を入力することが主業務ではないからです。データ量が十分でないと、どんなに精度の高い分析ツールを使用したとしても、効果的な結果を得ることはできません。
十分な量のデータを収集するためには「いかにして営業マンの入力負荷を下げるか?」が重要となります。
具体的な方法としては、スマートフォンやタブレットでの音声入力や、小売店におけるインカムでの音声入力、あるいはテレビ会議・Web商談であれば、その音声をそのまま録音してテキスト化するなど、様々な工夫をして、分析に必要な量のデータを収集・蓄積することが必要となります。
また、データを収集する際には、後工程における分析目的に合わせたデータ設計をしておくことも重要となります。図1のように、店舗名、記入日などの属性データを入力することでクロス分析が可能となりますし、例えば「提案内容」「顧客の反応」といった列を作り、それぞれの内容を分けて入力しておくことで、「提案内容」の内容に従って分類し、その後にそれに対しての「顧客の反応」を分析する、といった分析を実施することも可能となるからです。
図1:営業日報のデータフォーマットの例
3.適切な分析ツールを選択する
データの収集が出来たら、そのデータをエクスポートし、分析ツールに投入することで分析が可能となります。
分析ツールを選択するに当たって重要な点は、「1.分析の目的を設定する」で述べた通り、「分析の目的によって分類の方法や分析の手順を変更することができるか?」という点です。
具体的には、分類の定義ファイルを複数保持できることや、分析の目的によって複数のプロジェクトを作成・管理できること、などです。また、テキストデータの項目が「提案内容」「顧客の反応」など複数ある場合には、複数のテキスト列を分けて分析できることや、複数のテキスト列を自由にスイッチして分析できることなども重要となります。
図2は、小売現場での日報データを対象にして、テキストマイニングツール「VextMiner」の分析機能を使用して分析を実施した事例となります。この分析例では、分析の目的を「営業日報から顧客ニーズや市場のトレンドを発見し、商品・サービスの企画に活かす」に設定しており、その目的に合わせて分類をしています。分析結果を見ると、日報データから顧客ニーズが抽出され、詳細に可視化されていることが分かります。
4.まとめ
営業日報の分析は「分析の目的を設定する」「データを収集する仕組みを作る」「適切な分析ツールを選択する」の3点がポイントとなります。
より詳細な情報や事例について知りたい方は、製品ページをご覧いただくか、お問合せフォームよりぜひお気軽にお問合せください。テキストマイニングに興味をお持ちの方は、無料のセミナーもございますので、お気軽にご参加ください。
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