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「会話に役立つ」FAQやシナリオを会話データから取り出す手法


コールセンターで日々行われる問い合わせに対し、電話だけでなくチャット対応も一般化して久しい昨今ですが、オペレーターやAI・チャットボットが適切な回答を行うためにはFAQやトークシナリオ(トークスクリプト)を充実させる必要があります。
それらのナレッジを手作業で作成しようとすると、膨大な工数がかかるだけでなく、全体を俯瞰できず偏りのあるFAQとなってしまう恐れがあります。

今回はナレッジ作成を効率的かつ網羅的に行うために、会話データからFAQ・シナリオを取り出す手法についてご紹介します。

手作業でナレッジを作成する際の課題

FAQやトークシナリオを作成する際、ツールを導入していない場合どのようなデメリットがあるのでしょうか。
応対履歴をベースにFAQ担当者が作成する場合や、オペレーターが応対の中で発生したやり取りをFAQ候補として登録するケースもありますが、それらの対応には共通した課題が潜んでいます。

課題①膨大な工数がかかる
課題②記録者の表現に置き換えられている(検索にヒットしづらい)
課題③どのFAQを優先的に作成すればいいか分からない
課題④そもそもトークシナリオを作成することが困難
課題⑤ナレッジ全体に対しての評価(カバー率確認)ができない

これらの詳細については次項より説明します。

課題①膨大な工数がかかる

蓄積した応対履歴からFAQを作成する場合、1件1件内容を確認しながら素材になりそうな話題を探すこととなり、読み込むだけでも膨大な時間を要することとなります。

オペレーターが通話終了の度にFAQ候補を登録する場合でも、ACWの時間が長くなってしまう上に、登録されたFAQをSVやFAQ管理者が確認して採用か否かを判断する必要があり、業務上の負担を大きくしてしまいます。

これらを解決するためには、大量データを一括で処理できるツールの導入が不可欠と言えます。

課題②記録者の表現に置き換えられている(検索にヒットしづらい)

応対履歴やFAQ候補は入力したオペレーターにより表現の置き換えが行われているケースが多く見られます。


例)インターネットに関する窓口でのやり取り

カスタマー 「引っ越し先でもちゃんとネットが繋がるか知りたいんですけど」
オペレーター「かしこまりました。転居先はどちらでしょうか」
カスタマー 「〇県〇市です」
オペレーター「お調べしたところ、問題なくお使いいただけます」

例)上記やり取りの応対履歴

・照会内容:〇県〇市の通信状況について
・回答内容:通信状況に問題はないと回答


事実の記録という点では問題がないのですが、この内容からFAQを作成した場合、検索にヒットしづらくなる可能性があります。
なぜならば、カスタマーは「引っ越し先 ネット 繋がるか」といった表現で検索を行うのに対し、FAQは「〇県〇市の通信状況について」という文言で登録されているため、少なくともキーワード一致の検索機能ではヒットさせることができないと言えます。

そのため、FAQを作成する際に元となるデータは「カスタマーが使う表現」が残っている必要があります。

課題③どのFAQを優先的に作成すればいいか分からない

応対履歴から作成する場合、「目についた順に」「なんとなく多そうな話題から」手を付けることとなり、今求められているFAQを選出することが難しいでしょう。

オペレーターが通話終了の度に候補を登録する場合は話題の抜け漏れはなさそうですが、採用要否や優先度はチェック担当者個人の判断に委ねられることとなります。

問い合わせ削減のためにも、「全体の中で大きな比重を占める問合せ」や「最近発生した話題」などを把握し、優先されるべきFAQから着手できる仕組みが必要となります。

課題④そもそもトークシナリオを作成することが困難

一問一答型のFAQであれば応対履歴から作成することもできますが、トークシナリオを作成する際には会話の流れが読み取れる素材が必要となり、応対履歴からの作成は難しいでしょう。
オペレーターのFAQ候補の記録も同様であり、トークシナリオの作成は困難です。

トークシナリオを作成したい場合は正解の流れを把握しているSVが、ありえそうなやり取りを想定する、もしくはオペレーターの会話記録(録音や音声認識結果)を確認しながらまとめていくこととなり、作業負担が大きくなってしまいます。

課題⑤FAQ全体に対しての評価(カバー率)ができない

手作業でもFAQやシナリオを作り足していくこと自体は可能ですが、作成したナレッジが現在問い合わせ話題のどの程度をカバーできているか、ナレッジが存在しない話題はなにか、などの評価は難しいと言えます。

「役に立つFAQ・シナリオ」を管理運用するためには、ナレッジを作りっぱなしにするのではなく、定期的に評価を行い継続的にメンテナンスすることが肝要です。

手作業で生じる課題をまとめて解決する「Vext知識+」

前述の4つの課題はそれぞれ、以下のように解決できると考えられます。

解決策①テキスト分析ツールによる大量データの一括処理
解決策②会話データから実際の表現を抽出
解決策③テキスト分析ツールによるFAQ候補の選出
解決策④テキスト分析ツールによる会話データからの文脈抽出
解決策⑤テキスト分析ツールによるカバー率のグラフ化、未カバー話題の抽出

上記の解決策すべてに対応したツールが「Vext知識+」です。
Vext知識+は大量の会話データを一括で処理し、FAQ・シナリオを作成することができます。

まずは会話データを投入することで自動的に通話内容を話題単位(=セグメント単位)に分割します。
次に話題を自動的に分類し、カテゴリの指定を行うことができます。

カテゴリの指定条件(分類ルール)を用いて文脈抽出を行うことで、主要なシナリオグループを抽出することができます。
これにより、「よく話されている会話の流れ」を発見できるようになります。
またこの際に特定の話題を指定することで、その話題を含むシナリオだけに絞り込むことも可能です。

抽出したシナリオは共通話題をまとめ、以降の異なる話題展開は分岐させることで、「同じ質問でも状況により分岐していくシナリオ」を作成することができます。
これらの分岐シナリオはトークシナリオだけでなく、AI・チャットボットに投入するナレッジとして活用可能です。

また、シナリオ中の話題から実際の会話表現を抽出し自動要約を行うことで、Q文、A文を生成します。
これによりカスタマーが使う質問表現を活かしたFAQを作成することができます。

メンテナンスの際は、作成したナレッジと問合せデータを比較することで、カバー率の確認を行います。
これによりカバーできている(ナレッジが存在する)話題と、カバーできていない(ナレッジの作成が必要な)話題の割合を可視化することができます。
カバーできていない話題だけを抽出してナレッジの作成を行うこともできるため、管理運営が容易となります。

FAQやトークシナリオを効率的・網羅的に作成したいのであれば、Vext知識+の導入をおすすめします。


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