• 運用アドバイス

VOCレポートの作成方法について(応用編)


VOC活動の中核をなすVOCレポート。
前回の「VOCレポートの作成方法について(基礎編)」では、VOCレポートを作成する上で必ず抑えておくべきポイントについてご紹介しました。

今回は報告全体のストーリー作りに注目して、応用編としてご説明します。

なぜレポートにストーリーが必要なのか?

基礎編でも触れた通り、よくあるVOCレポートの悪い例として「クロス分析列挙型」があります。
レポートと言えばこういうものだろうと、「年代別」「時系列」「地域別」…といった属性とのクロスをただ羅列したものがこれに当たります。
分析で得られた結果の一つではありますが、なぜこれが悪い例となるのでしょうか。

結果の羅列は「だから何?」と思われてしまう要因

分析結果の報告を受ける(レポートを読む)人は、何を目的としているのでしょうか?
営業担当であれば自分が担当している製品や売り上げに対して何が影響するのか、経営者であれば自社ブランドの立ち位置や顧客満足度、次の打ち手に関わるキーフレーズなどを求めてレポートを閲覧します。
ただでさえ忙しい業務の合間を縫って情報を得ようとした時に、結果がずらずらと並べられているのを眺める事態となれば、「で、どれが何に関係する情報なの?」と首をかしげる結果となるでしょう。

最初は何とか情報を読み解いて自分に必要な結果を取捨選択しようと努力をしても、これが毎月繰り返されれば、次第に労力を割く事をあきらめてレポートを眺めすらしない…という結末にもなり得ます。

ストーリーがあれば、読み手はもっと知りたくなる

では、レポートにストーリーがある場合はどうなるでしょうか。
最初に時系列で件数推移を見ると、「7月に問合せ件数が急増している」ことに気づきます。
次に時系列×地域別でクロス分析を行うと、「特に大阪において7月の問合せが増えている」ことを知り、地域別×話題をクロスすることで、「大阪は他の地域に比べ、新製品キャンペーンに関する話題の割合が多い」と分かれば、新製品のキャンペーンが特に大阪において反響を得ており、それによって問合せ件数が増加している、という事実が明らかになります。

ここまでをレポートで読んだ東京の営業担当者は、「同じキャンペーンを東京でも打ったはずなのに、なぜ東京における反響が少ないのか?」を知りたくなるでしょう。
このように、レポートでただ事実を並べるだけでなくストーリーを作ることで、“レポートの結果を活かす立場”である閲覧者の興味関心を得る事ができます。
それにより、使ってもらえる、価値のある分析結果を提供することが可能となります。

レポートのストーリーは「事実を整理して課題を発見する」ための道筋

ただし、「結末が決まったストーリー」のレポートを作成してはいけません。
分析者が誘導したい結論への道筋だけを示しても、他の事実を無視して「言いたい事だけを伝える」恣意的な内容となりがちです。

恣意的なレポートによくある失敗例は以下の通りです。
① 全体を明らかにしない
② 他の話題や属性と比較をしない
③ (結果として)根拠が明らかではない

導き出したい結論を示すカテゴリが「全体の中で何割を占めており」「他と比較をした際にどのような特徴を示していたから」「重要な話題として選定を行った」という思考の流れをレポート内の情報で明らかにしなければ、根拠が不明確なレポートとなってしまいます。
全体から絞り込むように、きちんと事実を整理して、課題までの道筋をはっきりとさせるために、ストーリー作りが必要なのです。

VOCレポートを作成する際に、読み手の興味を引き出し、具体的課題への道筋を示すために、ストーリー作りは重要と言えます。


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