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コールセンターによって差が出る?会話自動要約の導入効果

コールセンターによって差が出る?会話自動要約の導入効果
コールセンターの業務の中でも特に効率化が求められるのが、アフターコールワーク(ACW)と呼ばれる通話終了後の応対記録作業です。
その対応として、「自動要約ソリューションのPOCを実施する際に最低限考えておくべきポイント」でもご紹介したように、自動要約ソリューションの導入を進めるケースが増えつつあります。

しかしその一方で、全てのコールセンターにおいて自動要約ソリューションの導入効果が出ているとは言い難い状況となっています。

今回は、自動要約ソリューションの導入効果が出やすい/出にくいコールセンターの特徴についてご説明します。

自動要約ソリューションの導入メリットとは?

まず、自動要約ソリューションの導入を行うメリットは何でしょうか?
「通話内容が自動的に要約されることで応対記録を残す手間が省けるから、ACWの時間短縮に繋がる」と答えた方は、正解ではありますがやや大雑把な回答と言えます。

自動要約ソリューションは音声認識システムと連携し、通話内容のフルテキストから要約処理を自動的に行います。
これにより、以下のメリットを得ることができます。
① 通話中にメモを取らなくても会話内容を確認できる(音声認識のメリット)
② 記録の品質を均一化することができる(自動要約のメリット)
③ 入電数が多い時間帯は要約ログを溜めて、後から確認できる(自動要約のメリット)

① について、オペレーターは通話中もお客様との会話だけでなく、資料やFAQの検索なども同時並行で行い、更には応対記録を残すために通話内容のメモを取る必要があります。
音声認識を導入することで通話内容がフルテキストで残されるため、メモを取る作業が不要となり、結果としてオペレーターはお客様との会話に集中することができます。

② について、ベテランオペレーターであれば会話中のどの話題が重要で、何を書き残すべきかを判断することができますが、新人オペレーターの場合は話題の抜け漏れが発生したり、逆に不要な話題も書き残してしまい長文化したりと、記録の品質がばらつきがちです。
自動要約ソリューションは重要な話題の指定やテキスト量の調整が可能であるため、一定の品質で応対記録を残すことができるようになります。
自動要約結果画面(VextResume)

③ について、通常は通話が終了した時点で応対記録を入力しますが、入電数が多い時間帯ではコールが鳴りやまず、入力作業によりお客様を待たせてしまう、もしくは入力を後回しにして記憶が薄れてしまう、などの問題が発生します。
自動要約ソリューションが要約結果のログを溜めておける仕様であれば、忙しい時間帯は電話対応を優先し、入電数が落ち着いた段階でログを確認すれば、通話の内容と要約結果を見比べて過不足がないかを判断できます。

自動要約ソリューションの導入効果はコールセンターによって変わる

前段で①②③のメリットについて触れましたが、自社の(もしくは提案先の)コールセンターと照らし合わせると、果たしてそのメリットはどれくらいの大きさとなりそうでしょうか?
① のメリットが最も大きいと感じる場合は、まずは音声認識システムの導入だけで良さそうです。
② や③のメリットが大きいと感じる場合は、導入前にPOCで効果測定を行うことがお勧めです。

何故いきなり導入ではなくPOCが必要なのか?については、「自動要約ソリューションのPOCを実施する際に最低限考えておくべきポイント」をご参照ください。

POCを行う前に、導入効果が見込めそうかどうかを粗々判断したい場合、以下について考えてみましょう。

  • 対象コールセンターの入電数
  • 対象コールセンターの平均通話時間
  • 対象コールセンターのベテランオペレーターと新人オペレーターの割合
  • 対象コールセンターのコール内容

入電数が多いコールセンターであれば、自動要約された結果を叩きとしてオペレーターが多少の修正を行うことで作業工数が減り、沢山のコールを捌くことができそうです。
入電数が少なければシステムの助けを受けずともゆっくり記録を残すことが可能であるため、導入効果が薄く感じるでしょう。

平均通話時間が長い場合は話題が多岐に渡り複雑化するため、記録を残す難易度が上がります。
そのため、自動要約により重要話題を抽出することで抜け漏れを防ぎ、記録の品質を均一化できるでしょう。
平均通話時間が短ければ話題もシンプルであると予想され、自動要約結果をそのままCRM等に登録するだけで作業が完了し、ACW短縮に繋がりやすいと考えられます。

ベテランオペレーターが多いコールセンターの場合、ノウハウが確立されているためシステムの支援を必要とせず、システム自体が使われなくなってしまう可能性があります。
一方で新人オペレーターが多いコールセンターの場合、オペレーター自身が不慣れであってもシステムが通話内容や要約結果を示してくれるため、SVの指示・指導の手間を減らすことができそうです。

コール内容が定型的である、話題の範囲が限定的である場合、自動要約しやすい話題と考えられます。
コール内容が流動的、個人(もしくは環境)に依存する場合、自動要約結果に対して人間が補足を行うことを前提とした運用が望ましいと言えます。

これらの情報を加味して、自動要約ソリューションの導入目的を明確に設定し、導入効果の測定を行うことをお勧めします。

まとめ

自動要約ソリューションの導入を検討する場合は、コールセンターの特徴と照らし合わせて目的設定を行いましょう。

より詳細な情報や事例について知りたい方は、お問合せフォームよりぜひお気軽にお問合せください。テキストマイニングに興味をお持ちの方は、無料のセミナーもございますので、お気軽にご参加ください。

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