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応対履歴と通話全文、どちらを分析するべきか?を目的別に考える


コンタクトセンターにおけるVOC分析の対象となるのが、窓口の通話ログとなります。
応対履歴として書き残している企業もあれば、音声認識システムを導入してフルテキスト化を行っている企業もありますが、「自社で分析を行うためにはどちらのデータが相応しいか?」はリソースや目的によって異なります。

今回は分析目的から、応対履歴と通話全文のどちらが有効か、分析対象を選定するための考え方についてご説明します。

応対履歴と通話全文、それぞれのメリット・デメリット

まずは応対履歴と通話全文の特徴を見比べてみましょう。

応対履歴は書き手により重要と思われる箇所のみ、“書き言葉”で記録されています。
通話全文は音声認識システムにより、会話の全てが“話し言葉”で記録されています。
これらの違いにより、以下のようなメリット・デメリットが考えられます。

応対履歴のメリット・デメリット

  • メリット:要点だけをピンポイントに分析することができる
  • デメリット:書き手の主観により話題の取捨選択がされており、抜け漏れが発生する可能性がある

通話全文のメリット・デメリット

  • メリット:微妙なニュアンスを含めた会話の全容を分析することができる
  • デメリット:挨拶文やあいづちなどの不要な表現を多く含み、要点が見つけにくい

このように、応対履歴・通話全文いずれも長所短所があります。
そのため、まずは分析目的を明確にし、分析対象を選ぶ必要があります。

目的別にデータを選ぶ

VOCを分析するにあたり、目的設定を行いましょう。

「問い合わせが多い話題を発見して、業務改善につなげる」のであれば、応対履歴でも通話全文でも実現することが可能であり、要点だけが記載された応対履歴の方がより手早く主要話題を発見できます。

「オペレーターの対応品質評価を行いたい」のであれば、通話全文を対象とするべきでしょう。
応対履歴にオペレーターの対応は仔細に残されていないため、通話の内容を可視化して、説明内容やそれに対するお客様の反応、話題ごとの所要時間などから、品質評価分析を行います。

「少数意見から、クレームの予兆や隠れたニーズを発見したい」のであれば、応対履歴でも通話全文でも注意が必要となります。
応対履歴を端的にしか残さない窓口の場合、そもそも少数意見が記載されておらず、発見に至らないことがあります。
通話全文を対象とした場合は些末な話題や補足的話題(個人情報、復唱など)が多く含まれており、少数意見が埋没して発見しにくいという難点があります。
いずれの場合もまずは全体を整理し、少数意見は少数意見だけに切り分けた後に分析を行うことで、予兆やニーズを発見する(もしくは現状残されていないと判明する)ことに繋がります。

リソースからデータを選ぶ

前述の通り、主要な話題を簡便に捉えたければ応対履歴、応対履歴に残されない範囲を知りたければ通話全文を対象とする必要があります。
つまりVOCの全体をつぶさに見える化したいのであれば通話全文を分析することが望ましいのですが、分析の難易度は「応対履歴<通話全文」となり、分析者のスキルも問われることとなります。

既に自社内に分析チームがあり、分析から報告までのスキームがはっきりと決まっている場合は、通話全文を対象とした分析に着手しても問題ないでしょう。
注意点として、書き言葉の分析と話し言葉の分析には大きな違いがあり、話し言葉かつ通話全文を分析対象とする場合は「不要な話題が多く含まれる」「話し言葉のため、人によって表現が異なる」ことを理解した上で取り組む必要があります。

自社内に分析チームがなく、まだVOC分析に着手した経験がない場合、いきなり通話全文を分析対象とするのは困難と言えます。
まずは要点だけが書かれた応対履歴を対象に分析をスタートし、自社に寄せられるお客様の声の概要を知り、どのような体制で分析に取り組むべきかを検討した後で、ステップアップとして通話全文をターゲットとするべきでしょう。

VOC分析の目的やリソースから、今着手するべきデータを選びましょう。


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