• 分析事例

食品通販のクレーム・ご意見からサービス改善を目指す


在宅化が一般に浸透するに従い、家庭においてもネットショッピングの利用数が増加傾向にあります。
特にネットスーパーなどの食品販売系は、注文数激増により一時的に注文を停止するなどの対応を取る企業も見られました。
しかし、利用者が増加するに従い苦情・要望も増えていくため、VOC分析の必要性もまた高まっていくと考えられます。

今回は食品通販のクレーム・ご意見を分析し、サービス改善を目指すための分析手法についてご説明します。

クレームとご意見は分けた方が分かりやすい結果になる?

特にB to CにおけるVOC分析でよく言われるのが「クレームとご意見を別々に集計してほしい」という要望です。
企業からすればクレームは緊急性が高く、ご意見は余裕ができてから…と考えるのは致し方ない部分もありますが、VOC分析においてクレームとご意見を分けて分析することはあまりお勧めできません。

その理由としてまず挙げられるのが、「クレームとご意見をどうやって判断しているのか?」という問題です。
例えばコンタクトセンターに掛かってきた電話の内容を応対履歴に残す際、オペレーターが「これは苦情」「これはご意見」とフラグを付けているのであれば、クレームとご意見の違いは個人の主観に基づく判断に頼るだけとなり、Aさんはご意見とした内容でもBさんはクレームとする…という状況が発生します。

また次の理由として、「クレームとご意見の境目は曖昧である」ことが挙げられます。
例えば「袋が開けづらい」という問い合わせがあった場合、「もう少し開けやすくして欲しい」と表現されればご意見として扱われますが、「無理やり開けたら中身が飛び散った、どうしてくれる」と表現されればクレームとして扱われます。
どちらも要因は同じであるにも関わらず、表現によってご意見かクレームかを分けてしまうと、解決すべきひとつの課題にどれだけの人数の言及があったかが見えづらくなってしまいます。

これらの理由から、「クレームとご意見は分けず、まとめて分析にかける」ことが望ましいと言えます。

テキスト情報と属性情報を組み合わせて正確な情報を知る

サービス全般へのご意見である場合、テキスト情報からだけでも課題を抽出することは難しくありません。
一方で個別商品を区別する必要がある場合、属性情報として商品名や商品コードが入力されていることが望ましいと言えます。
テキスト情報を分析して「どのような事象が発生したのか」を話題分類した上で、属性とクロス分析をすることで「どの商品に対して×どのような事象が発生したのか」を明確化することができます。

季節特有の話題を見逃さない

特に食品は季節に影響され、どの商品がよく出るか?や、商品がどのような状態で届いたか?がクレームやご意見の傾向に影響を与えます。
特に夏場は食品が傷みやすい時期となるため、品質への言及が増えると予想されます。
また梱包時に保冷剤を入れることで「食品に直接触れていたため傷んでしまった」など、良い状態で送るための処置が却って悪い状況を招くケースもあります。
これらの季節特有話題は前年の同時期データを分析することで明らかにすることができるため、シーズンを迎える前の事前準備として取り組むのが良いでしょう。

生産者へのフィードバックを忘れない

食品通販において、すべて自社で製造を行っている企業は多くはなく、特に生鮮食品の場合は生産者と契約を行っているケースが中心となると思われます。
品質に関する声は生産者(製造元)にとって無関係ではなく、より良い商品を作るためにもフィードバックは必要と言えます。

この際に気を付けたいのが、マイナスの評価だけをフィードバックしない、という点です。
商品改善に役立つとは言え、クレームばかりが届くのではモチベーションが下がってしまいます。
必ず喜びの声も交え、「多くのお客様がおいしいと喜んでいる」「一部、傷んでいたという声があるため、傷みやすい商品は梱包に注意してほしい」というように具体的な課題を連携するようにしましょう。

食品通販においてVOC分析は今後必要性が高まると予想されるため、すべてのお客様の声から課題抽出を行える運用を考えましょう。


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