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レポートに載せるグラフは「ストーリー」で選ぶ


分析で得られた結果はレポートとしてまとめる必要がありますが、その際に悩みどころとなるのが載せるべきグラフの選択です。
「大抵のレポートではこんなグラフが載っているから…」という曖昧な選定理由では、適切に情報を伝達することができません。

今回はレポートのストーリー性を重視したグラフの選び方についてご説明します。

ストーリーがない「多彩な情報」は読み手を混乱させる

そもそも、レポートにストーリー性は必要なのでしょうか。
ストーリーのないレポートは情報の羅列にしか過ぎないため、「ストーリー性は必要」と言えます。

では、なぜストーリーがないと問題なのでしょうか。
例えば「読み手が経営層や複数部署となるため、網羅性のあるレポートにしたかった」場合、まずは話題全体の件数比較を出し、時系列変化、地域別の情報を出し、男女比、年代別、商品別、メディア別…と様々な情報を順繰りに掲載し、それらすべてで分かったことを羅列して、数十ページにおよぶ大作のレポートを提出した、という話をよく耳にします。
その結果どうなったかと言えば、各部署からは「自分の部署が関係する情報がどれなのか分からない」と困惑の声が上がり、経営層からは「結局、今対応すべき課題はどれなのか」と首を傾げられるという、残念な反応が返ってきたそうです。

この問題は、「分析者は全体を俯瞰できているが、読み手に必要な情報を整理できていない」ために生じた物です。
分析者は事実を明らかにするだけでなく、その事実が誰にとって有益で、その裏付けはどこにあるか、情報の取捨選択と適切な順序で伝える努力が必要となります。

基本の「全体における割合」「時系列変化」をベースに考える

では、具体的にどのような順序でストーリーを作ればいいのでしょうか?
この時に考えるべきなのは、「分析の目的は何か?」「どんな結論に導きたいのか?」「全体像からその結論にたどり着くまでの道筋はどのようなものか?」です。
それを示すには、まずは全体において特徴的な話題があるか、そしてその話題は全体の中でどの程度の割合を示すのかで重要度を図る必要があります。
特徴的な話題(=課題候補)が発見できたら、次に話題の時系列変化を明らかにし、それが常に一定数発生しているのか、とある時期を境に増えたのか、話題の変動パターンを可視化します。
後はデータに付与されている属性情報を組み合わせて、課題を具体化していきます。

例えば、「自社製品に関する市場の反応を見たい、今求められている事を知りたい」という目的を持ち、直近でプロモーション施策を行っていた場合、以下のような順序でレポートを作ると良いでしょう。
① 話題全体グラフで、意見が集中している話題を特定
② 時系列グラフに話題をクロスし、①の話題が増加した時期と、プロモーション施策のタイミングとの関連性を可視化
③ メディア別グラフに時系列をクロスし、②の時期とメディア別の意見の動きを比較
④ 製品別グラフに話題をクロスし、話題傾向の違いを可視化
⑤ まとめで、①~④の関係性を明らかにする

次のアクションに繋がる着地点で〆る

どんなお話でも、結末がなければいけません。
レポートの場合は「この結果から分かった事=次にやるべき事」に結びつく必要があります。

先程の例の続きとして、⑤まとめでは以下について整理していきます。
・意見が集中している、対応すべき話題は何か?
・プロモーションとの関連性があったか?
・プロモーションとメディアの動きは連動しているか?
・製品別で期待される内容がどう異なるか?

これにより、プロモーションとの関連性が見られるのであれば、その影響度合いから次のプロモーション施策に反映することができ、連動が見られないのであれば「潜在的に顧客が持つニーズ」として対応する必要があることが分かります。
この結論は経営層や広報部門に価値を示す情報と言えます。
また、メディアとの連動具合から、自社の顧客に対してどのチャネルからのアクションが有効か探ることができ、製品ごとに動きを変えて提案することができるようになります。
この結論は営業部門、開発部門に有益な情報と言えます。
読み手それぞれの役割に応じた次のアクションのヒントを示すことが、レポートのストーリーの結末になります。

分析結果で得られた情報を適切に伝えるためには、レポートのストーリーが重要となります。ストーリーに合った適切なグラフを取捨選択しましょう。


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