• 分析事例

「褒められる人」の特徴は?会話分析で行うオペレーター評価


コンタクトセンターにおける課題は離職率の高さと、それに伴う人員育成と言われています。
限られたリソースの中でオペレーターの教育・サポートを効果的に行うためには、優れたオペレーターのノウハウを抽出し、共有することが重要です。

今回はオペレーター評価の中でも「褒められるオペレーター」の特徴を抽出する手法についてご説明します。

1.「褒められる」オペレーターを見つけ出す

まずは、よくお褒めの声を頂いているオペレーターを探し出します。
この時、分析対象データは音声認識結果テキスト(会話データ)であることを前提とします。

分析手順は次の通りです。
① お褒め表現を抽出してルール化する
② お客様の発言のみを対象に、①のルールで分類を行う
③ ②の結果をオペレーター名とクロスして、お褒めが多いオペレーターを見つける

①お褒め表現を抽出してルール化する

褒められるオペレーターを探すためには、まず「お客様がどのような表現を用いれば褒められた事になるか」を定義する必要があります。
代表的なお褒め表現は「ありがとう」「助かった」などですが、窓口の対応業務によっても用いられる表現は変化するため、やみくもにそれらしい表現を集めることは効率的とは言えません。
そのため、システムの支援を受けてお褒め表現を見つけ出すと良いでしょう。
(1) 話題を自動的にグルーピングする(=主要なお褒め表現の発見)
(2) 主要なお褒め表現を使用して、概念検索を行う(=お褒め表現のバリエーション発見)

まずは話題を自動分類することで、よくあるお褒め表現を見つけることができます。
ただしグループ化された話題のほとんどは、お問合せの主題や会員情報の確認など、窓口業務に直結する内容となります。
「お褒め」は常に出現する話題ではないため、ここで発見できるのは多くのお客様が用いる主要な表現のみとなります。
これだけではお褒め表現の抜け漏れが発生するため、主要なお褒め表現を検索文として、概念検索(=類似文書の検索)を行います。
これにより、主要表現と同じようなシーンで用いられる、お褒めのバリエーションを発見することができます。

今回の例では「助かった」という主要なお褒め表現から、「丁寧(にご説明いただいて助かります)」という新たなお褒め表現を発見することができました。

②お客様の発言のみを対象に、①のルールで分類を行う

お褒め表現をルールとして登録した後、実際のデータからお褒めを含む通話を抽出します。
会話データにはお客様だけでなくオペレーターの発言も含まれ、またオペレーターも「ありがとうございます」などの感謝を示す表現を用いるため、ノイズとなってしまいます。
そのため、会話データからお客様の発言(カスタマー軸)だけを抜き出したデータを用意する必要があります。

カスタマー軸だけを対象としてお褒め表現ルールを適用することで、会話データ中のお褒め話題の割合を可視化することができます。

②の結果をオペレーター名とクロスして、お褒めが多いオペレーターを見つける

②の結果に対してオペレーター名をクロスし、オペレーター個人別にお褒め話題の割合を確認します。
更にお褒め話題の割合が多いオペレーター順に並べ替えることで、「褒められる」オペレーターを発見することができます。

2.「褒められる」オペレーターの特徴を発見する

褒められるオペレーターを発見した次の段階として、その特徴を抽出します。
この時、褒められるオペレーター“個人”の特徴ではなく、褒められるオペレーター群に“共通する”特徴を発見する必要があるため、少なくとも3名以上のオペレーターを選出する必要があります。
選出されたオペレーター達と、それ以外の一般オペレーターを比較するために、まずは話題分類で対応内容を可視化します。
この時の対象データは、オペレーターとお客様の対話データとなります。

選出された各オペレーターとその他オペレーターに対して対応話題をクロスすることで、まずは「話している内容に差があるか?」を確認します。
次に、縦軸を件数から時間表示に切り替えることで、「各話題の所要時間に差があるか?」を確認します。
これにより、例えば「相手を気遣う話題(感染症による生活の不便さなど)を用いる頻度が多い」、「お客様の状況確認に時間を多く割いた」オペレーターがお褒めを頂きやすい、といった傾向を捉えることができます。

これらの分析で得られたノウハウは分析結果の報告に留めず、コンタクトセンター全体で共有し業務活用を行うべきでしょう。
褒められるオペレーターが多用する表現はトークスクリプトに反映する、SVがオペレーターを評価する際に指標として用いるなど、まずは現場で活かすことが重要です。

「褒められる」オペレーターの特徴を抽出し、満足度の高い人員育成へと繋げましょう。


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