HCI International 2022で気づいたことをざっくり共有します
HCI International 2022はHCI研究分野の国際学会です。HCIは、Human-Computer Interactionの訳語であって、人間とコンピューターとのインタフェースに着目した学問領域です。この分野の研究内容は、弊社が目指している「人とシステムとのコラボレーションによるテキストマイニング」に共通する部分もあるため、今年は弊社メンバーが当学会に参加してきました。
以下のとおり、学会で気付いたポイントをざっくり共有したいと思います。
1.製品の考え方:人間中心的AI
HCIの究極的な目標は、自動化レベルと人間制御レベルの両方とも高い製品(AI)を実現することです。下図の4象限で具体的に説明します。左上の象限は、自転車やピアノのような、自動化レベルが低く、人間制御レベルが高い製品を表しています。これらの製品は、長時間の練習によってマスターする必要があります。
一方、心臓ペースメーカーやエアバッグのような製品(右下の象限)は、学習する必要はないが、人間がコントロールできません。
この2象限の製品は、いずれも活躍の場面があるが、ベクスト製品が目指しているのは、右上の象限です。満足のいく自動化機能を備えつつ、必要なときに必要な制御機能を持っている、このような製品開発を目標に挙げています。
参照元(外部サイト)
[1] https://iui.acm.org/2021/images/HCAI-IUI-Part%201-Shneiderman-4-13-2021-v2.pdf
2.ユーザーインターフェースに関する研究
HCII2022では様々なインタフェースに関する研究を見てきました。以下2本を紹介します。HCIは広い意味でのインタフェースを語る領域であって、通常のディスプレイに表現できる図形や画像以外に、VR・AR・IoTセンサーのようなデバイスも含まれているので、この点は注意してください。
① 擬人化エージェントの信用度をあげる研究 [2]
この論文は、擬人化エージェント(AIの写真)が発信したテキストと、ユーザーのエージェントに対する信用度との関係を研究しています。作者は、2つのエージェントを選出して、それぞれ「沈黙」「謝罪文」「謝罪文+信用を弱める表現」を発信させます。
その結果、謝罪の上に自分への信用を敢えて下げるような表現を使ったエージェントへの信用が上がりました。AIの精度はまだまだの段階において、ユーザーからの信用を保ちたいときに活用できるではないかと思います。
参照元(外部サイト)
[2] https://2022.hci.international/monday(2022/11月時点で学会以外で未公開状態)
I’m Only Human: The Effects of Trust Dampening by Anthropomorphic Agents
②VRアバターの代理権を引き出す方法の研究 [3]
現実世界の人をVRの世界で表現した場合に、そのバーチャル人物(アバター)は本人と思わせるのか、いわゆる代理権を出せているのか、という研究が行われています。この論文は、アバターの代理権を引き出せる方法を提案しました。
作者の実験では、男性と女性の代理権への肯定を生み出す要因が異なり、男性にはアバターが視覚・運動・触覚を提供できると肯定度が最も高く、女性には視覚と運動のみ提供した方が良い、ということが分かりました。ユーザーごとの適切なUIを設計するときに活かせると思います。
参照元(外部サイト)
[3] https://dl.acm.org/doi/abs/10.1007/978-3-031-06509-5_9
3.まとめ
2021年9月にリリースした新製品「Vext知識+」のインタフェースは、弊社パートナーであるデザイン会社と協業して作り上げたものです。人間中心的AIの目指す姿である、人間が使いやすい、コンピュータによる自動支援が充実したインターフェース設計・製品開発を行いました。
ヒューリスティック評価の考え方に基づいてデザインされた「Vext知識+」は、高いユーザビリティ・ユーザエクスペリエンスを提供します。
大量の音声認識データを蓄積し、その活用方法を検討されている方は、ぜひ弊社までお問い合わせください。
関連製品:Vext知識+
関連書籍:テキストマイニング概論