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自治体の分析事例(2)


テキストマイニングの需要は一般企業だけではなく、自治体にも広がっています。
市民の声の収集・分析を行うにはどうするべきか、前回の「自治体の分析事例について(1)」では、“市民の声=VOC”の分析についての概要を解説しました。

今回は、「市民の声を収集」する前に、どのようなVOC活用構想を練るべきかを解説いたします。

1.市民の声がどのようなデータに含まれているか洗い出す

「市民の声」と一口に言っても、「どこで」「どんな内容で」「どのような形で」記録されているかは自治体によって異なると言えます。また、上記の組み合わせによって得られる情報も異なるでしょう。

①コールセンター

例えば、市民の相談窓口としてコールセンターが設置されている場合は以下の通りとなります。
・どこで……………コールセンター(電話窓口)
・どんな内容で……問い合わせ、苦情
・どのような形で…応対履歴 or 音声認識結果

能動的に自治体の窓口に電話を掛けてくる市民は、既に何らかの課題を有しており、確認や改善要望を行う必要があると感じている状態です。
すなわち、自治体にとっても優先度が高く、何が課題なのか?どのようなニーズがあるか?を分析して確認することが求められます。

②ホームページ

自治体が公開しているHPからも問い合わせが来ることが考えられます。
・どこで……………ホームページ
・どんな内容で……問合せ、苦情
・どのような形で…問い合わせフォーム、メール

特に若年層は電話よりも問い合わせフォーム等を利用する機会が多いと予想されます。
コールセンターに寄せられる内容と類似した問合せや苦情が含まれており、こちらも既に発生している課題を捉えることができるデータとなります。

③SNS

コールセンターやHPの問い合わせは「発生中の課題」ですが、更に先回りをして「直接は届かないニーズ/不満」を知りたい場合は、SNSの分析も有効な場合があります。

・どこで……………SNS(X(Twitter)、Facebook、他)
・どんな内容で……不満、ニーズ、その他
・どのような形で…投稿

ただし、SNSの投稿は自治体へ直接伝えようとしていない場合が多く、自治体の名前を記載していない、記載していたとしても内容に意味がない(雑談)など、データを収集する段階でも課題があり、難易度が高いと言えるでしょう。
一方で、その自治体に属するイベント(●●花火大会など)がある場合は、イベントの固有名称でデータを集めることで、具体的な話題傾向を探ることが可能と考えられます。

2.目的に合わせてデータの選択をする

自治体でどのようなデータを持っているかが洗い出せた後は、どのデータを使ってどんな結果を得たいか?を考える必要があります。
緊急性が高い課題を整理したいのであれば「①コールセンター」の応対履歴を対象にすると良いでしょう。
HPのFAQを充実させたいのなら、HPから問い合わせている=既にFAQを確認した可能性がある「②ホームページ」の問い合わせ履歴を対象にすると、不足しているFAQを発見しやすいと考えられます。
ニーズを広く集めたいのであれば「③SNS」も有効です。

また、「①コールセンター」で音声認識システムを導入している場合、サマリー化された応対履歴を分析するか?もしくは会話全文が記録されている音声認識結果を分析するか?という選択肢も生まれます。
こちらについては以下の記事をご参照ください。
▼関連記事
応対履歴と通話全文、どちらを分析するべきか?を目的別に考える

自治体として、VOCをどう活用するか?今なにを優先するべきか?を考えて、データを選択してください。


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